toggle

子供たちの午後

子供たちの午後  2013年4月出版

子供たちの午後
碧瑠璃色のビー玉だけが知っている、あの町で暮らした記憶。
子供にしか見えない世界、子供だけが感じる何かが、そこにはあった。
誰にでもある幼少期を描いた、ノスタルジックな純文学小説。
あの頃、大人にとってはなんでことないことも、子供にとっては大事件だった。

殊に、少年が膝の上に抱えているボトルシップが、ひときわ和美の目を引いた。
透明なボトルの、滑らかなガラス面が照り返す陽の光が、和美の瞳に飛び込んでくる。
和美の瞳に飛び込んできたのは、陽の光ばかりではない。
それは、少年の視線だった。
少年の方もまた、車窓からトラックの荷台の和美を見遣っていた。
潤んだ瞳に繊細な面差し。
まるで、少年の膝の上にある精緻な工芸細工みたく──   ──本文より

概要

誰しも、純真無垢な子供時代から青年へと羽化していく時期を迎える。少女期のたそがれに刹那訪れる、純粋と混沌とが交錯する瞬間。そんな子供時代の終焉の一瞬の煌めきが、和美の脳裏で鮮やかに蘇る。そして、追懐の旅路がはじまる。
父と共に西の地に流れ着いた小学校六年生の和美。開発が進むその地は、裕福な者たちが暮らす「新興高級住宅街」と、地上げ屋に怯える者たちの住む「下町」が隣り合う場所だった。そこで和美、誠、宏之、恵実の四人の少年少女は、子供ならではの純粋さで友情を育んでいく。
だが無情にも子供時代の無邪気な日々は瞬く間に過ぎ去り、和美のもとからは、ひとりまたひとりと友は去っていく。また独りぼっちになってしまったことを、和美はかみしめるのであった。

ストーリー

初夏、再開発に取り残された下町と新興高級住宅街とが隣接する地区に、転校生がふたり引っ越してくる。下町にやってきたのは上野和美。母は家出し、父完治と祖母藍子の三人暮らし。完治は地元の国谷という高利貸しの男に雇われ、やくざな商売を生業(なりわい)にしている。一方、高級住宅街にやってきたのは、お金持ちの家庭のひとり息子村瀬宏之。宏之は、中学受験を控えて塾通い。
和美と宏之は、土地っ子ふたりと友達になる。ひとりは中村誠。零細下請け工場の次男坊。工場は経営難で国谷に借金している。もうひとり、藤谷恵実は祖母とふたり暮らし。祖母は寂れた映画館を経営し、これまた国谷に借金している。
午後、小学校の授業が終わると、下町を放浪する気のいい初老の男キョージュを交え、下町に連れ立っては様々な遊戯に興じる四人。
それぞれ複雑な家庭事情を抱えながらも日々健気に振る舞う四人であったが、中学校進学を目前に事情は思いがけない方向へと展開する。四つの歯車は次第に噛み合わなくなり、運命は四人をそれぞれの道へと導いていくのであった。

ご注文方法

子供たちの午後
著者:青桃(あおもも)
≫プロフィール
出版社:文芸社
定価:¥1,300(税別)
子供たちの午後
ご注文はお近くの書店(≫店頭販売のご案内)にて、
またはクロネコヤマトのブックサービス
(フリーダイヤル0120-29-9625、携帯電話からは03-6739-0711)の電話注文、
セブンネットショッピング(www.7netshopping.jp)にて承ります。
アマゾンでも販売中です。
amazon
電子書籍もKindle(アマゾン)Kobo(楽天)のサイトにて配信販売しております。